【はじめに】
前回は
「中途半端な理解で統計を使ってしまうと、重大な間違い
をしてしまう可能性がある」
そして
「株の分析で『統計的分析/確率分析』と称しているもの
は、この大きな間違いをしてしまっているケースが多い」
と、お話ししました。今回はその具体的な説明です。
【よくある誤り】
まず結論から入ります。
統計学では
「無作為(つまりランダムに)抽出したデータは、全体を代表する」
と考えます。
ところが株(に限らず相場全般)の統計では、この重要な原則を無視し
てしまう事がとても多いのです。
思い当たりませんか?!
「株の分析」ではよく「過去ン年のデータを確認すると・・・」との言
い方をしていますネ?!
つまりこれは
「過去ン年の連続データを『ランダムに抽出したデータである』と
仮定して、分析を行っている」
と言う事になるのです。
軽く考える人が多いかもしれません。
ですが、この行為は「統計学の原則」を最初から無視してしまっている
事を覚えて置いてください。
ですから、
「過去4年のデータ全てを使って分析した結果、株の値動きには
**の法則がある」
なんて言うのは「完全な間違い」です。
#偶然あてはまる事もあるのですが、あくまで偶然です。
つまりランダムではない「片寄ったデータ」を元にしているのに
「データは全体を代表している」と仮定してしまっているのです。
ここに狂いが出るのは当然です。
ですから
「過去4年は通用した法則が、次の1年ではまったく通用しなかった」
なんて事が、多々起こります。覚えがありませんか?!
そして、こんな統計の初歩すら把握していない人たちが色々なツールを
販売していたりします。
そして、それを頼りに売買している人がいるのです。
・・・あまりに怖い事です。
【正しい統計の為に・・・】
「片寄りのない妥当なデータ」を準備するにはどの様にすればよ良いの
でしょうか?!
ここに正確な答えはありません。ですが考えられるのは次の二つです。
1:データの片寄りを考慮して統計処理する。
2:十分に長い期間のデータを使用する
如何でしょう?!
1の「データの片寄りを考慮して統計処理する」は、例えば
「1年のデータを1個のサンプルと仮定したT分布を使う」
なんて方法です。
この手法が本当に正しいのか否なのかは私にも良く分かりません。
ですが、最低限この程度の処置は必要だと思う次第です。
蛇足ですが、この方法を使って計算すると、
過去2年間に勝率90%だった手法が、翌年に勝率65%にダウン。
そしてその翌年には勝率50%(つまり無意味)に落ち込みます。
厳しいのですが、これが現実に近い気がしています。
さて2の「十分に長い期間のデータを使用する」はどう考えるべきで
しょうか?!
これも確固たる答えはありません。経済学で言う「景気循環」で考えて
みるのも一案です。
景気循環には次のような物があると言われています。
・コンドラチェフの波(約50年)技術革新による景気循環
・クズネッツの波(約20年)建設需要、世代交代による景気循環
・ジュグラーの波(約10年)設備投資による景気循環
・キチンの波(約40ヶ月)在庫生産変動による景気循環
これらの組み合わせが一通り出揃うのが100年と考えられます。
そこまで行かなくても、最低限「コンドラチェフの波」つまり50年は
クリアしたい気がします。
ちなみにバフェットさんの師匠であるグレアムさんもやはり
「50年通用した法則ならば信じる価値がある」
・・・とおっしゃっていたとか。
それにしても、「過去の法則が本当に将来も生きるのか」については
かなり慎重な検討が必要です。
【まとめ】
この様に、統計はかなり慎重に使わないと危険です。
少なくても10年程度のデータだけで「分析したつもりになる」なんて
事にはならない様に注意しましょう!
次は別の「本当にヒドイ、統計無視の実例」をご紹介します。
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(宜しければ下記も参考にしてください)
○アクティブリバランス投資法とは?!
http://gookabu.blog48.fc2.com/blog-entry-86.html
○主なバックナンバー
http://gookabu.blog48.fc2.com/blog-entry-153.html
○アクティブリバランス詳細解説リンク集
http://gookabu.blog48.fc2.com/blog-entry-53.html
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お役に立ちましたらポチっとお願いします。
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「中途半端な理解で統計を使ってしまうと、重大な間違い
をしてしまう可能性がある」
そして
「株の分析で『統計的分析/確率分析』と称しているもの
は、この大きな間違いをしてしまっているケースが多い」
と、お話ししました。今回はその具体的な説明です。
【よくある誤り】
まず結論から入ります。
統計学では
「無作為(つまりランダムに)抽出したデータは、全体を代表する」
と考えます。
ところが株(に限らず相場全般)の統計では、この重要な原則を無視し
てしまう事がとても多いのです。
思い当たりませんか?!
「株の分析」ではよく「過去ン年のデータを確認すると・・・」との言
い方をしていますネ?!
つまりこれは
「過去ン年の連続データを『ランダムに抽出したデータである』と
仮定して、分析を行っている」
と言う事になるのです。
軽く考える人が多いかもしれません。
ですが、この行為は「統計学の原則」を最初から無視してしまっている
事を覚えて置いてください。
ですから、
「過去4年のデータ全てを使って分析した結果、株の値動きには
**の法則がある」
なんて言うのは「完全な間違い」です。
#偶然あてはまる事もあるのですが、あくまで偶然です。
つまりランダムではない「片寄ったデータ」を元にしているのに
「データは全体を代表している」と仮定してしまっているのです。
ここに狂いが出るのは当然です。
ですから
「過去4年は通用した法則が、次の1年ではまったく通用しなかった」
なんて事が、多々起こります。覚えがありませんか?!
そして、こんな統計の初歩すら把握していない人たちが色々なツールを
販売していたりします。
そして、それを頼りに売買している人がいるのです。
・・・あまりに怖い事です。
【正しい統計の為に・・・】
「片寄りのない妥当なデータ」を準備するにはどの様にすればよ良いの
でしょうか?!
ここに正確な答えはありません。ですが考えられるのは次の二つです。
1:データの片寄りを考慮して統計処理する。
2:十分に長い期間のデータを使用する
如何でしょう?!
1の「データの片寄りを考慮して統計処理する」は、例えば
「1年のデータを1個のサンプルと仮定したT分布を使う」
なんて方法です。
この手法が本当に正しいのか否なのかは私にも良く分かりません。
ですが、最低限この程度の処置は必要だと思う次第です。
蛇足ですが、この方法を使って計算すると、
過去2年間に勝率90%だった手法が、翌年に勝率65%にダウン。
そしてその翌年には勝率50%(つまり無意味)に落ち込みます。
厳しいのですが、これが現実に近い気がしています。
さて2の「十分に長い期間のデータを使用する」はどう考えるべきで
しょうか?!
これも確固たる答えはありません。経済学で言う「景気循環」で考えて
みるのも一案です。
景気循環には次のような物があると言われています。
・コンドラチェフの波(約50年)技術革新による景気循環
・クズネッツの波(約20年)建設需要、世代交代による景気循環
・ジュグラーの波(約10年)設備投資による景気循環
・キチンの波(約40ヶ月)在庫生産変動による景気循環
これらの組み合わせが一通り出揃うのが100年と考えられます。
そこまで行かなくても、最低限「コンドラチェフの波」つまり50年は
クリアしたい気がします。
ちなみにバフェットさんの師匠であるグレアムさんもやはり
「50年通用した法則ならば信じる価値がある」
・・・とおっしゃっていたとか。
それにしても、「過去の法則が本当に将来も生きるのか」については
かなり慎重な検討が必要です。
【まとめ】
この様に、統計はかなり慎重に使わないと危険です。
少なくても10年程度のデータだけで「分析したつもりになる」なんて
事にはならない様に注意しましょう!
次は別の「本当にヒドイ、統計無視の実例」をご紹介します。
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○アクティブリバランス投資法とは?!
http://gookabu.blog48.fc2.com/blog-entry-86.html
○主なバックナンバー
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○アクティブリバランス詳細解説リンク集
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