勘に頼らない側の投資判断に「収益還元法」と言う
考え方を使っています。
ここではなるべく簡単に、この収益還元法を説明し
てみますネ
金融工学と言うと大げさですが、ロジカルな判断方
法とし知っておいて損はないと思いますヨ!
初めての方まずバックナンバーをご一読頂く事を
オススメします。
バックナンバーはこちら
【アクリバ理論その7】金利と回収リスクの関係
さて前回は、
「回収リスクとPERの関係」についてお話しました。
この中でPERという指標は
①株主資本という部分を無視している指標である事
②①があるが故、個人的には投資判断には使っていない事
をご説明しました。
今回は「回収リスクとPERのもう一つの違い」つまり
「金利を考慮すべきか否か」がテーマです。
※かなりツマラナイ内容と思いますがご容赦下さい。
○さて、もう一度「回収リスク」の定義を思い出して下さい。
1株利益(予想)
回収リスク =------------------- - 長期金利
株価 - 1株資本
です。そしてPERはこの式の1株資本と長期金利をゼロ
にしたものと同じ(実際には逆数)です。
つまりPERは「長期金利」を無視しています。
これが「良いことなのか、悪い事なのか」を考えてみます。
結論から言うと
「長期金利が大きく動かない程度の短期的な判断に使う時」
又は
「同じ金利がベースにある同じ国内の株を比較する場合」
であれば「長期金利は無視しても良い」と思います。
但し、
「金利が大幅に変わる過去との比較の場合」
又は
「海外株と比較する場合」
には「長期金利は無視できない」と考えています。
この理由を説明しますネ。
【未来の収益と長期金利の意味】
これまでお話してきた「収益還元」には、
「未来の企業収益が株価に反映されている」と言う思想が
あります。
そして「未来の企業収益」を「今の価値に換算する」には
金利を考慮しなくてはいけない。
ともお話しました。
この金利の妥当な水準は、人やによって違います。
しかし、「市場での取引」を考えた場合、自分の金利が年
ン%だから・・・と言っても、相手がそれを認めてくれな
くては話になりません。
ですから、「市場で取引される標準金利」が存在します。
この金利ですが、一般的には国債利回りが意識されるよう
です。
国債であれば「回収リスクはゼロ」と言えますし、
#ヨーロッパではこれが壊れだしていますが(笑)
未来の収益・・・は数年~数十年先の話ですから、やはり
短期ではなくて数年レベルの長期金利を意識するのは妥当
と言えそうです。
つまり「回収リスクがゼロの場合」つまり、投資したお金が
確実に返って来る場合には「国債利回り」程度のリターン
が「日本での標準」と考えて概ね間違いなさそうですネ。
おそらく、一般的な先進国ではこれはあてはまります。
つまり
「未来のお金と今のお金を繋ぐ金利の標準は国債利回り」
になると思われます。但しギリシャなんかは別でしょうネ
でもこの「国債利回り」多少問題があって、
①毎年、償還までの期間が短くなる。
10年債も9年経てば、長期債とは言えなくなります。
②毎年発行される10年債も,その時の需給で多少利回り
がバラツク
なんて問題があります。
これを防ぐために、私は近い指標として
「日経公社債インデックス(長期)」
を基準にしています。
この場合、1%前後の「回収リスク」が含まれる様ですが
その分、過去との連続性が保たれていると思っています。
【国際的な比較をする】
さて、この「国債利回り」国によって大きく違います。
例えばこんな感じです。(全て、残10年での比較)
アメリカ 3.24%
日本 1.23%
オーストラリア 5.38%
国によって、インフレの進み具合や財政、経済成長率等
色々違いますからこれは当然です。
中国やブラジルなんてもっと高そうですよね!
ここで、例えば次のような株を想定します。
・株主資本はゼロ
・毎年の収益は100円
・回収リスクは10%
そして、この株価をそれぞれの国で考えます。
アメリカの場合
755円 = 100円 ÷(0.1+0.0324)
日本の場合
890円 = 100円 ÷(0.1+0.0123)
オーストラリアの場合
650円 = 100円 ÷(0.1+0.0538)
となります。
#本当は各国通貨で考えるベキですが許して!
で、これをPERに換算します。株価を100で
割れば良いのですから・・・
アメリカの株 7.55倍、日本の株 8.9倍、そしてオー
ストラリアの株 6.5倍になりますネ。
さて、よくこんな記事を目にしませんか?!
「日本株のPERは8.9倍、これに対してアメリカ株は
PER7.55倍である。つまり日本株は割高な水準ま
で買われている。反面オーストラリアは6.5倍、割安
に放置されていると考えられる」
ここまでの私の説明を理解いただければ、おそらく
「何バカなこと言っているの?!」と感じると思います。
当然ですが、この場合「回収リスク」は全部10%で同じ
です。同じ条件の株価が「国債利回りを無視」する事で、割
高に見えたり割安に見えたりするのです。
ここでも「PERは雑な指標」だと言うことが分かると思
います。国を跨いで使うときは要注意です。
【時期的な比較をする】
日本の場合、長期金利は2000年以降1%~2%を行っ
たり来たりしています。
ですからこれによる株価の影響はホトンド無いと考えて良
いと思います。
ですが長期的な比較をすると、かなり様相が変わってきま
す。例えば1990年頃は長期債利回りは7%以上でした。
ここまで来ると誤差と呼ぶには少々つらくなりますネ
ですから、先程の「国際的な比較」同様、この場合にも長
期金利を考慮しておいた方が良さそうです。
【まとめ】
先週と同じ結論ですが、あえてもう一度書いておきます。
株の割安/割高を図る指標として。PERと回収リスク
を比較すると
「PERは少々雑だけど皆が知っているから
会話に使える。そして計算も楽」
「回収リスクは精度としては高い。しかし誰も
知らないし、計算がやや面倒」
との違いがあります。
結局、兄弟の様な判断指標なのです。どちらを使うかは
「お好み」です。
ですが、PERには雑な部分が多々あります。安直には使
わない事をオススメします。
さて、「回収リスク」にばかり話が集中してしまいました。
次回は「理論株価」の考え方に話を戻そうと思います。
そして最後に「短期投資への応用」かな?!
気が変わったらすいません。
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ここではなるべく簡単に、この収益還元法を説明し
てみますネ
金融工学と言うと大げさですが、ロジカルな判断方
法とし知っておいて損はないと思いますヨ!
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オススメします。
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【アクリバ理論その7】金利と回収リスクの関係
さて前回は、
「回収リスクとPERの関係」についてお話しました。
この中でPERという指標は
①株主資本という部分を無視している指標である事
②①があるが故、個人的には投資判断には使っていない事
をご説明しました。
今回は「回収リスクとPERのもう一つの違い」つまり
「金利を考慮すべきか否か」がテーマです。
※かなりツマラナイ内容と思いますがご容赦下さい。
○さて、もう一度「回収リスク」の定義を思い出して下さい。
1株利益(予想)
回収リスク =------------------- - 長期金利
株価 - 1株資本
です。そしてPERはこの式の1株資本と長期金利をゼロ
にしたものと同じ(実際には逆数)です。
つまりPERは「長期金利」を無視しています。
これが「良いことなのか、悪い事なのか」を考えてみます。
結論から言うと
「長期金利が大きく動かない程度の短期的な判断に使う時」
又は
「同じ金利がベースにある同じ国内の株を比較する場合」
であれば「長期金利は無視しても良い」と思います。
但し、
「金利が大幅に変わる過去との比較の場合」
又は
「海外株と比較する場合」
には「長期金利は無視できない」と考えています。
この理由を説明しますネ。
【未来の収益と長期金利の意味】
これまでお話してきた「収益還元」には、
「未来の企業収益が株価に反映されている」と言う思想が
あります。
そして「未来の企業収益」を「今の価値に換算する」には
金利を考慮しなくてはいけない。
ともお話しました。
この金利の妥当な水準は、人やによって違います。
しかし、「市場での取引」を考えた場合、自分の金利が年
ン%だから・・・と言っても、相手がそれを認めてくれな
くては話になりません。
ですから、「市場で取引される標準金利」が存在します。
この金利ですが、一般的には国債利回りが意識されるよう
です。
国債であれば「回収リスクはゼロ」と言えますし、
#ヨーロッパではこれが壊れだしていますが(笑)
未来の収益・・・は数年~数十年先の話ですから、やはり
短期ではなくて数年レベルの長期金利を意識するのは妥当
と言えそうです。
つまり「回収リスクがゼロの場合」つまり、投資したお金が
確実に返って来る場合には「国債利回り」程度のリターン
が「日本での標準」と考えて概ね間違いなさそうですネ。
おそらく、一般的な先進国ではこれはあてはまります。
つまり
「未来のお金と今のお金を繋ぐ金利の標準は国債利回り」
になると思われます。但しギリシャなんかは別でしょうネ
でもこの「国債利回り」多少問題があって、
①毎年、償還までの期間が短くなる。
10年債も9年経てば、長期債とは言えなくなります。
②毎年発行される10年債も,その時の需給で多少利回り
がバラツク
なんて問題があります。
これを防ぐために、私は近い指標として
「日経公社債インデックス(長期)」
を基準にしています。
この場合、1%前後の「回収リスク」が含まれる様ですが
その分、過去との連続性が保たれていると思っています。
【国際的な比較をする】
さて、この「国債利回り」国によって大きく違います。
例えばこんな感じです。(全て、残10年での比較)
アメリカ 3.24%
日本 1.23%
オーストラリア 5.38%
国によって、インフレの進み具合や財政、経済成長率等
色々違いますからこれは当然です。
中国やブラジルなんてもっと高そうですよね!
ここで、例えば次のような株を想定します。
・株主資本はゼロ
・毎年の収益は100円
・回収リスクは10%
そして、この株価をそれぞれの国で考えます。
アメリカの場合
755円 = 100円 ÷(0.1+0.0324)
日本の場合
890円 = 100円 ÷(0.1+0.0123)
オーストラリアの場合
650円 = 100円 ÷(0.1+0.0538)
となります。
#本当は各国通貨で考えるベキですが許して!
で、これをPERに換算します。株価を100で
割れば良いのですから・・・
アメリカの株 7.55倍、日本の株 8.9倍、そしてオー
ストラリアの株 6.5倍になりますネ。
さて、よくこんな記事を目にしませんか?!
「日本株のPERは8.9倍、これに対してアメリカ株は
PER7.55倍である。つまり日本株は割高な水準ま
で買われている。反面オーストラリアは6.5倍、割安
に放置されていると考えられる」
ここまでの私の説明を理解いただければ、おそらく
「何バカなこと言っているの?!」と感じると思います。
当然ですが、この場合「回収リスク」は全部10%で同じ
です。同じ条件の株価が「国債利回りを無視」する事で、割
高に見えたり割安に見えたりするのです。
ここでも「PERは雑な指標」だと言うことが分かると思
います。国を跨いで使うときは要注意です。
【時期的な比較をする】
日本の場合、長期金利は2000年以降1%~2%を行っ
たり来たりしています。
ですからこれによる株価の影響はホトンド無いと考えて良
いと思います。
ですが長期的な比較をすると、かなり様相が変わってきま
す。例えば1990年頃は長期債利回りは7%以上でした。
ここまで来ると誤差と呼ぶには少々つらくなりますネ
ですから、先程の「国際的な比較」同様、この場合にも長
期金利を考慮しておいた方が良さそうです。
【まとめ】
先週と同じ結論ですが、あえてもう一度書いておきます。
株の割安/割高を図る指標として。PERと回収リスク
を比較すると
「PERは少々雑だけど皆が知っているから
会話に使える。そして計算も楽」
「回収リスクは精度としては高い。しかし誰も
知らないし、計算がやや面倒」
との違いがあります。
結局、兄弟の様な判断指標なのです。どちらを使うかは
「お好み」です。
ですが、PERには雑な部分が多々あります。安直には使
わない事をオススメします。
さて、「回収リスク」にばかり話が集中してしまいました。
次回は「理論株価」の考え方に話を戻そうと思います。
そして最後に「短期投資への応用」かな?!
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