私は投資判断やリスク管理に「収益還元法」を中心と
した金融工学の考え方を使っています。
ここではなるべく簡単に、この金融工学のエッセンス
をご紹介してみます。
「金融工学」・・・名前は大げさですが、ロジカルな
判断方法とし知っておいて損はないと思いますヨ!
初めての方まずバックナンバーをご一読頂く事を
オススメします。
バックナンバーはこちら
「マネーゲームではない本当の投資」
一緒に考えて見ませんか?!
【アクリバ理論その15】虚しいテクニカル
前回は「将来の予測は不可能」であれば
「株は買ってずっと持っておくのが一番良い
(= Buy And Hold 戦略)」
と言う(有名かつ退屈な)結論を説明しました。
言い換えると、
「本当の意味での将来の予測」
が出来ない状態であれば、
株を売買する事は、
「かえって損をする(又は儲け損なう)事になる」
と言う事です。
では「本当の意味での将来の予測」が可能なのか否か
が今回のテーマです。まずはテクニカルから・・・
【虚しいテクニカル】
「株の将来は予測できるか?!」と言うテーマについては
古今東西、それこそ無数の研究者が挑んでいます。
そこで出されている結論は
「予測は不可能とは言えないが、極めて困難な事である」
と言うとても曖昧な内容です。
この中でも予測手法によってレベル差が存在する様です。
様々な文献に記載されている結果をまとめると、おおよそ
次の様な内容です。そして、これらは「金融工学」での常
識になっています
1:過去の株価推移により将来を予測する手法は
ほぼ無意味。(絶対とは言えないようです)
=>例えば上手く行く可能性は1%も無い
とのニュアンスです。
2:過去の経済状況をから将来を予測する手法は
無意味とは言えないが困難が伴う。
=>例えば上手く行く可能性は10%
とのニュアンスです。
3:明らかな市場の歪が将来修正される事を期待する
手法は比較的有効。
但し、歪は簡単にはみつからない。
=>例えば上手く行く可能性は30%
とのニュアンスです。
#上記の「上手く行く可能性」は、著作のニュアンスを
#私の印象だけで付けた物です。鵜呑みにはしないで下さい。
上記を一般的な言い方で分類すると
1:過去の株価推移により将来を予測する手法
=>テクニカル分析
2:過去の経済状況をから将来を予測する手法
=>ファンダメンタル分析
3:市場の歪が将来修正される事を期待する手法
=>裁定理論(バリュー分析の一種)
となると思います。
これが故、プロの資産運用は
1:株を買って放っておく(パッシブ運用)
2:ファンダ又は裁定分析での運用をする(アクティブ運用)
が主流のようです。プロの世界ではテクニカル的な分析は
ほとんど行われていません。
それは、前述の通り
「出来るかもしれないけれど、分析に要する時間を考えると
『骨折り損のくたびれもうけ』にしかならない可能性大」
だからです。
「テクニカル分析の虚しさ」は私も実感しています。
私は統計学が得意分野、プログラムもそこそこ出来ます。
そんな訳で、以前はテクニカル的な売買研究もかなりし
ていました。そして「何億パターン」ものバックテスト
を繰り返したりもしました。
・・・でも「勝てる方法」は見つからずじまい。
みな一時的には上手く行っても、その後崩壊してしまう
のです。
#おそらく、教科書に載っている指標はすべて試したと
#思います。
もちろん、私が経験した事が「すべて」ではないと思い
ます。しかし私の経験と世界の研究者の結論が一致して
いることから考えて・・・
「テクニカル分析を研究する事は、時間のムダに終わる
可能性が極めて高い」
これだけは言えると思います。
でも、こう書くと、すごい反論が来そうですよね!
「おれは上手く言っている」・・・と!
でも、反論される前に下記を検証してみて下さい。
1:本当にBuy And Holdに勝てていますか?!
この場合、レバレッジの条件も合わせて考えてくだ
さいネ。
個別銘柄は日経平均TOPIXと比べると実質的には
レバレッジが利いている事になりますから要注意
株価が値上がりする時期にレバレッジ効かせれば
レバの無いBuy And Holdに勝つのは当然です。
2:テクニカルとファンダ/裁定分析あるいは勘を併用し
ている場合
「上手くいった要因は」本当にテクニカルですか?!
実はテクニカルは関係なかった・・・なんて事も結構
あると思います。
3:最低4年程度、上手くいっていますか?!
1年程度上手く行く手法はそこそこ見つかります。
そして「運が良ければ」それが3年程度は続くかも
しれません。
でもそれは「運が良かった」だけなのかもしれません。
「運ではない」と言うには、最低4年/できれば10年
程度上手く行く手法でなければならないと思います。
#グレアムさん(バフェットさんの師匠)は50年上手く
#行かなければダメと仰っていたようです。
もう一つ、テクニカル分析が「リスクの低減」に役立つと言う
意見があると思います。
リスクを抑えるために「売買手数料」「株を所持しない損失=
1年間4%」を対価として支払うのは意味があるのでは・・・
との主張です。
ただ、これに対しても研究者達からは
「そもそも耐えられるリスクレベルを考えて、レバレ
ッジを落として投資すべき」
との意見が出されるのでしょうネ。
と言いつつ、私もテクニカル的な判断はたまに使います。
ただ予測と言うより、「ふんぎりを付ける」為だったりします。
最後に今回のまとめ
「テクニカル的な判断は、あてにならない可能性が高い事を
認識しておくべき。」
また
「精度の高い、テクニカル分析を追及する事は
『骨折り損のくたびれもうけ』にしかならない可能性大」
です。
反論もあろうかと存じますが、一度冷静に考えてみてください。
次回はファンダ/裁定分析の有効性に話を進めたいと考えて
います。
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した金融工学の考え方を使っています。
ここではなるべく簡単に、この金融工学のエッセンス
をご紹介してみます。
「金融工学」・・・名前は大げさですが、ロジカルな
判断方法とし知っておいて損はないと思いますヨ!
初めての方まずバックナンバーをご一読頂く事を
オススメします。
バックナンバーはこちら
「マネーゲームではない本当の投資」
一緒に考えて見ませんか?!
【アクリバ理論その15】虚しいテクニカル
前回は「将来の予測は不可能」であれば
「株は買ってずっと持っておくのが一番良い
(= Buy And Hold 戦略)」
と言う(有名かつ退屈な)結論を説明しました。
言い換えると、
「本当の意味での将来の予測」
が出来ない状態であれば、
株を売買する事は、
「かえって損をする(又は儲け損なう)事になる」
と言う事です。
では「本当の意味での将来の予測」が可能なのか否か
が今回のテーマです。まずはテクニカルから・・・
【虚しいテクニカル】
「株の将来は予測できるか?!」と言うテーマについては
古今東西、それこそ無数の研究者が挑んでいます。
そこで出されている結論は
「予測は不可能とは言えないが、極めて困難な事である」
と言うとても曖昧な内容です。
この中でも予測手法によってレベル差が存在する様です。
様々な文献に記載されている結果をまとめると、おおよそ
次の様な内容です。そして、これらは「金融工学」での常
識になっています
1:過去の株価推移により将来を予測する手法は
ほぼ無意味。(絶対とは言えないようです)
=>例えば上手く行く可能性は1%も無い
とのニュアンスです。
2:過去の経済状況をから将来を予測する手法は
無意味とは言えないが困難が伴う。
=>例えば上手く行く可能性は10%
とのニュアンスです。
3:明らかな市場の歪が将来修正される事を期待する
手法は比較的有効。
但し、歪は簡単にはみつからない。
=>例えば上手く行く可能性は30%
とのニュアンスです。
#上記の「上手く行く可能性」は、著作のニュアンスを
#私の印象だけで付けた物です。鵜呑みにはしないで下さい。
上記を一般的な言い方で分類すると
1:過去の株価推移により将来を予測する手法
=>テクニカル分析
2:過去の経済状況をから将来を予測する手法
=>ファンダメンタル分析
3:市場の歪が将来修正される事を期待する手法
=>裁定理論(バリュー分析の一種)
となると思います。
これが故、プロの資産運用は
1:株を買って放っておく(パッシブ運用)
2:ファンダ又は裁定分析での運用をする(アクティブ運用)
が主流のようです。プロの世界ではテクニカル的な分析は
ほとんど行われていません。
それは、前述の通り
「出来るかもしれないけれど、分析に要する時間を考えると
『骨折り損のくたびれもうけ』にしかならない可能性大」
だからです。
「テクニカル分析の虚しさ」は私も実感しています。
私は統計学が得意分野、プログラムもそこそこ出来ます。
そんな訳で、以前はテクニカル的な売買研究もかなりし
ていました。そして「何億パターン」ものバックテスト
を繰り返したりもしました。
・・・でも「勝てる方法」は見つからずじまい。
みな一時的には上手く行っても、その後崩壊してしまう
のです。
#おそらく、教科書に載っている指標はすべて試したと
#思います。
もちろん、私が経験した事が「すべて」ではないと思い
ます。しかし私の経験と世界の研究者の結論が一致して
いることから考えて・・・
「テクニカル分析を研究する事は、時間のムダに終わる
可能性が極めて高い」
これだけは言えると思います。
でも、こう書くと、すごい反論が来そうですよね!
「おれは上手く言っている」・・・と!
でも、反論される前に下記を検証してみて下さい。
1:本当にBuy And Holdに勝てていますか?!
この場合、レバレッジの条件も合わせて考えてくだ
さいネ。
個別銘柄は日経平均TOPIXと比べると実質的には
レバレッジが利いている事になりますから要注意
株価が値上がりする時期にレバレッジ効かせれば
レバの無いBuy And Holdに勝つのは当然です。
2:テクニカルとファンダ/裁定分析あるいは勘を併用し
ている場合
「上手くいった要因は」本当にテクニカルですか?!
実はテクニカルは関係なかった・・・なんて事も結構
あると思います。
3:最低4年程度、上手くいっていますか?!
1年程度上手く行く手法はそこそこ見つかります。
そして「運が良ければ」それが3年程度は続くかも
しれません。
でもそれは「運が良かった」だけなのかもしれません。
「運ではない」と言うには、最低4年/できれば10年
程度上手く行く手法でなければならないと思います。
#グレアムさん(バフェットさんの師匠)は50年上手く
#行かなければダメと仰っていたようです。
もう一つ、テクニカル分析が「リスクの低減」に役立つと言う
意見があると思います。
リスクを抑えるために「売買手数料」「株を所持しない損失=
1年間4%」を対価として支払うのは意味があるのでは・・・
との主張です。
ただ、これに対しても研究者達からは
「そもそも耐えられるリスクレベルを考えて、レバレ
ッジを落として投資すべき」
との意見が出されるのでしょうネ。
と言いつつ、私もテクニカル的な判断はたまに使います。
ただ予測と言うより、「ふんぎりを付ける」為だったりします。
最後に今回のまとめ
「テクニカル的な判断は、あてにならない可能性が高い事を
認識しておくべき。」
また
「精度の高い、テクニカル分析を追及する事は
『骨折り損のくたびれもうけ』にしかならない可能性大」
です。
反論もあろうかと存じますが、一度冷静に考えてみてください。
次回はファンダ/裁定分析の有効性に話を進めたいと考えて
います。
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