私は投資判断やリスク管理に「収益還元法」を中心と
 した金融工学の考え方を使っています。
 
 ここではなるべく簡単に、この金融工学のエッセンス
 をご紹介してみます。

 「金融工学」・・・名前は大げさですが、ロジカルな
 判断方法とし知っておいて損はないと思いますヨ!

 初めての方まずバックナンバーをご一読頂く事を
 オススメします。

 バックナンバーはこちら 

「マネーゲームではない、本当に殖やす投資」一緒に考えて見ませんか?!
 
【アクリバ理論その22】MPTでアクティブに!
 ※今回の内容は、特許および特許申請中の情報を含みます。
  権利者へ無断での他への転載は禁じます。

 前回は金融工学の元祖、「現代ポートフォリオ理論」を軽くご紹介しまし
 た。英語で言うと「Modern portfolio theory =MPT」と言います。

 この理論、資金配分についてかなりの示唆を与えてくれるのです。しかし
 ながら、元々が「ランダムウォーク仮説」を出発点にしている為か、
 「Buy And Hold」を前提にしている様です。

 ですのでアクティブリバランスにはそのままでは使えません。

 ですが、私達は「ランダムウォーク仮説」は完全ではない事を知っていま
 す。あわせて「広義の裁定取引」を活用したアクティブリバランスが効果
 的な事も知っています。

 このMPTをアクティブリバランスに使うにはどうすれば良いか考えてゆ
 きましょう!

【リターンの考え方】

 前回お話した通り、MPTでは「リターン」と「リスク」を算出します。
 そして「リターン」÷「リスク」が大きいほど「良い投資」と見なします。
 ついでに言うと、この「リターン」÷「リスク」は統計学上は勝率を表して
 います。
 ※厳密に言うと「リターン」÷「リスク」を正規分布で変換したものが勝率
  です。

 この平均リターンとリスク、日経平均の場合リターン4%、リスク20%と
 いう感じです。
 イメージしやすく単純化すると
   日経平均は1年後に
      24%値上がり(4%+20%= 24%)
      16%値下がり(4%-20%=▲16%)
   のいずれか五分五分・・・と考えればよいです。

 ここまでが前回の復習。

 でもこれでは「パッシブリバランス」の基準はつくれても、
 「アクティブリバランス」の基準は作れません。

 ではどうすべきか・・・

 ここで「広義の裁定取引=バリュー分析」の登場です。

 バリュー分析では
 「株には妥当な価値がある。そして株価がこれ以上になったら値下がりする
  可能性が高くなる。反対に株価がこれ以下になったら値上がりする可能性
  が高くなる」
 なんて考えますね!

 これをMPTで使うべく「数式化」します。

 どうすれば良いかわかりますか?!

 答えは
 
  妥当な価値から『需給/心理要因』で動いた株価はいずれ妥当な価
  値まで戻る。(資産価値に関する無裁定価格理論)

 に含まれています。
 
 おわかりでしょうか?!簡単に言ってしまうと
 「妥当価値から『値上がり/値下がり』した分は1年後にはそのン%が
  戻る」
 と考えれば良いのです。

 具体的に言いますね!

 今の日経平均の妥当な価値を12000円とします。

 もし今、日経平均が12000円だとすれば
 「リターン 4%、リスク 20%」
 つまり
  24%値上がり(4%+20%= 24%)
  16%値下がり(4%-20%=▲16%)
 が五分五分と言う事になります。

 さてこの日経平均が「価値が変わらないまま」10000円に値下がりしました。
 この場合、仮に値下がり分の半分が1年で戻ると仮定します。
 ※この「半分が戻る」は、あくまで仮定です。正確にはきちんと株価の測定
  が必要です。

 すると値下がり分(20%)の半分(10%)がリターンに加算される事に
 なります。

 つまりこの時の日経平均は「リターン14%、リスク 20%」と言う事に
 なるのです。

 さらに先程の要領で単純化すると
  34%値上がり(14%+20%= 34%)
   6%値下がり(14%-20%=▲ 6%)
 が五分五分と言う事になります。

 如何でしょうか?!
 安いところで買うと、
  「値下がり損」を食らう可能性は格段に下がるります。
   反対に期待できる「値上がりの幅」も格段に増えます。
 そして当然ですが、勝率(リターン÷リスク)も格段にUPします。
 実感にも合いますよね! 

 余談ですが、MPTで言う「リスク」(値動き幅)はあまり変化しません。

 例えばこんな感じです。
 
 悪い材料がでて「需給/心理要因」で株価が下げます。この悪材料は時間が
 経てば薄れてきて株価は元に戻ろうとします。
 しかし新しい「悪材料」が、また出てくる可能性もあります。
 そして反対に「株の価値」そのものが下がってしまう可能性もあります。

 これらを表現したものがリスクなのです。ですから、いついかなる時もリス
 クは存在します。

 さて、今回からは文章短めを狙ってこの程度で次回に譲ります。

 次回は、このMPTの考え方を使って
 「今投資すべきか、待つべきか、それとも売るべきなのか?!」
 これを理論的に導いてみましょう!

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2010.09.18 Sat l 投資技法 l top